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第1回[東京]半導体産業展 特別講演聴講のご報告

 2026年6月11日(水)、東京ビッグサイトにて開催された半導体産業展示において、「半導体政策に見る日本経済復活の道筋」をテーマに、半導体戦略推進議員連盟 名誉会長である甘利明氏による特別講演が開催されました。概要をご報告いたします。

1. 急速に進化するAIと半導体の重要性

 本講演では、人工知能(AI)技術が近年急速に進化していることが示されました。特に、汎用人工知能(AGI)の登場が近い将来に見込まれており、AIが社会システム全体の基盤となる時代が訪れようとしているとの認識が示されました。

 こうした流れの中で、AIを動かす中核部品である半導体の重要性は一層高まっています。現在のデジタル社会(DX)に続き、AIが社会インフラそのものを支えるAX(AI Transformation)時代においては、半導体・データセンター・電力供給が国家競争力の根幹をなすと位置づけられました。

 また、AIはクラウド上にとどまらず、工場の自動化・自動運転・ロボティクスといった物理的な領域にも広がっていく「フィジカルAI」の段階へと進化することも指摘されました。

2. 先端半導体をめぐる国際的な動向

 世界の半導体産業において、最先端の製造能力は現在一部のファウンドリ(受託製造企業)に高度に集中しています。この構造的な集中が国際的なサプライチェーンのリスクとして認識されており、各国が自国の製造基盤の強化を急いでいます。

 こうした状況下、最先端半導体を「供給できる国」と「供給を受ける国」との間では、産業競争力および経済安全保障上の立場が大きく異なります。半導体産業における技術力は、国家としての産業基盤の維持に直結するものであることが、あらためて強調されました。

3. 日本の半導体産業の再挑戦 ─ Rapidusの意義

 日本では、先端半導体の国産製造を目指すRapidusが設立されました。現在、半導体製造技術はFinFETからGAA(Gate-All-Around)と呼ばれる新しい方式へ移行する転換期にあります。この技術的な節目は、これまで先端製造から距離を置いていた日本が再参入する機会でもあります。

 Rapidusの強みとして挙げられたのは、AIを活用した生産プロセスの最適化や、ウェハを1枚ずつ処理する方式による精度とスピードの向上です。また、海外での経験を積んだ日本人技術者の活用や、日本が長年培ってきた精密なものづくりの技術が基盤となっています。

4. 日本の強みを活かした「戦略的不可欠性」

 講演では、日本が国際社会において「なくてはならない存在」となるための戦略的な考え方が整理されました。天然資源に乏しい日本は、技術力・製造力・データによってその地位を確立する必要があるとの方向性が示されました。 特に注目されたのは、以下の点です。

 汎用AIの開発競争では巨大テック企業が圧倒的なリソースを投入していますが、日本が強みを発揮できる領域は、製造業・素材・ロボティクスといった特定分野の深い専門性と現場データを活かした「特化型AI(バーティカルAI)」にあるとされました。この方向性は、日本の産業構造の特性にも合致するものです。

5. 中四国VISTAの取組との関連

 今回の講演内容は、中四国VISTAが取り組む半導体人材育成とも密接に関わるものでした。半導体を学ぶことは、単なる製造技術の習得にとどまらず、デジタル社会・AI社会を根底から支える知識を身につけることを意味します。

 電気電子系の学生はもとより、人文・社会科学系の学生にとっても、半導体産業が経済・産業・社会と深く結びついていることを理解することは大きな意義を持ちます。また、VR教材を活用した製造現場の体験的学習は、フィジカルAI時代に必要とされる現場理解・工程理解の基盤としても位置づけられます。

 地域の大学と企業が連携して次世代の半導体人材を育成する中四国VISTAの活動は、日本の製造力・技術力を継承・発展させる取組として、社会的にも重要な意義を持つものといえます。

おわりに

 AIと半導体が社会のあり方を大きく変えようとしている今、教育機関として私たちが果たすべき役割はますます重要になっています。中四国VISTAでは、引き続き産学連携のもと、時代の変化に対応できる人材育成に取り組んでまいります。

 今後も関連する情報や活動報告を本サイトにてお知らせいたします。